のんびり自分のオカルト体験書いとく54

以前、不思議ネットの掲示板で話したマリー・アントワネットの過去世を再掲やで。

 

自分が思い出した過去世の一つに、マリー・アントワネットがある。

今、振り返ってみても強烈な人生だったと思う。

まず、嫁いですぐ旦那様と子作りを強制させられたのは、まあ致し方ないとして。
それを親戚一同、幼い子供もお母さんに手を引かれて見ている中で子作りをさせられたのは、本当に本当に辛かった。
衆人環視の中で致す事を侍女を通じて聞かされた時は本当に驚いて、もう一度確認するよう侍女へ告げて。
そうして戻ってきた侍女から、変わらない現実を告げられた時は、あまりの事に「ああ、何てこと!」そう言って、額に手を当てて天を仰いだくらい。
今まで、そんな事は一度もしたことが無かったから余計にこの時の事は覚えてる。
実際に事に臨んだ時は、早く終わることだけをずっと祈っていたわ。
でも、本当の地獄はソレが終わった後。
自分の痴態を見た相手は親戚だから、パーティーや何かがある度に、平静を装ってつき合っていかなきゃならなかったの。
本当にこの頃は、オーストリアにいつも飛んで帰りたい気持ちでいっぱいだったわ。

更に間の悪い事に、当時のフランスはイギリスと敵対してたの。
そして、イギリス側の間者が王宮内に幾人か居たのね。彼らの話す言葉は流暢なフランス語だったけれど、彼らから発せられる雰囲気は私と同じストレインジャー、つまりフランス人とは違う異邦人の香りが漂っていた。

彼らはフランス王室を財政破綻させたくて、ただでさえ逼迫していた財政に更に負担をかけようと、私のドレスをよく勝手に燃やしていたわ。

私が燃やしなさいと、命令したからだと言って。

オーストリアから持ってきたお気に入りのドレスを燃やされた時は、本気で泣いてしまったのを覚えてるわ。

でも、そんな嫌がらせをされるのは、私がフランス人からあまり好かれてないせいだと最初の内は思っていたの。

私は、フランスの同盟国から迎えられた王妃だったけれど、いつも食事の時にいじわるをされていたの。
お毒味係のふとっちょな貴族の青年が、私のランチやディナーの大半を食べ尽くした後に、お皿の空いたスペースを埋める為に、申し訳程度に屑野菜や焦げて炭化したお肉やお魚がお皿の上に乗っているのが日常だったわ。
最初にフランスに到着して出された食事からして、もうこうだったの。
驚いて目を見開いて思わず、マナー違反にならない程度に旦那様のお皿の上にある料理と何度も見比べてしまったわ。
そして私のお皿だけ、こうなんだって理解してからは毒味係を変更しようとしたら、彼から職を奪うだの何だの酷い御方だと言われてしまったら、もう何も言えなくてね。
結局、王宮を出て終の住処になったプチ・アモーで暮らし始めるまで、そのままだったの。

で、最初の内はドレスが燃やされるのは、フランス人流の嫌がらせだと思っていたんだけれど、どうもそうじゃない事に気づいたのは、当時のフランス貴族の大半が、借金をしながら生活している事を遅まきながら察したからなの。

そこからは、彼ら貴族とのつき合いを一歩引いた場所から眺めていたわ。
そうしたら、綺麗なフランス語を喋るちょっと雰囲気の違う人達が何人かいる事に気がついたの。
そうね、彼らが喋るフランス語が綺麗すぎた、と言えばいいのかしら?
土地ごとの訛りが言葉の端に、こびりついていない流暢なフランス語。
だからこの方達は、きっと違う国の人達なのだと思ったし、事実、彼らから大半の貴族は借金をしていたの。隠しても隠し切れない程度には、していたように見えたわ。


何度目かのドレスを燃やされたせいで、私は心身ともに疲労を感じながら、ぼーっとお針子の皆さんに自分の体を採寸して貰ってる間、ずっと「ちまちまドレスを燃やしても、結局、遣う金額なんてたかが知れてるわ。いっそ、建物を建てたら彼らの望み通りの財政になるのに」って思っていたの。

それに、陰湿な宮殿の人間関係に嫌気がさしていた事もあって、私にとっては限られた人しかいない離れや別荘で過ごす事が夢になっていたわ。

当時の財政状況を考えたら、とんでもない考えだったし、私も提案したところで各貴族に反対されて実現しないだろうと高を括って、プチ・アモー(田舎風の建物)を建てて欲しいとお願いしてみたの。

そうしたら財政会議の後に侍女がやってきて、私の案が通過したと言うから、慌てて、そんな筈がない!今のフランスに、そんな余裕はどこにもないはずよ!と思って再度、彼女に確認して貰ったら本当にプチ・アモーの建設が決定していたわ。
私が恐らくこの辺りの貴族達は、建設に反対するだろうと思っていたのに、そうはならなかった。
私が考えていた以上に、フランス貴族の借金病は蔓延していたの。買収された、とも言えるけれど。

決定したからには、造られてゆくプチ・アモーを見て毎日虚しさを感じていたわ。
だって建設が始まってから、ドレスはただの一度も燃やされなかったの。可笑しいでしょう?

私が彼らにとって、都合よく財政にとどめを刺したから、きっとご褒美に燃やさずにおいてくれたんだと思うわ。

だから、プチ・アモーでの生活はなるべく簡素な服で過ごすよう心がけたの。

プチ・アモーでの私の生活を田舎暮らしのごっこ遊びだなんて言われてたけど、私がドレスを一着きる度に、一着燃やされていたような状態だったから、もう服を燃やされなくてもいいように、捨てられなくてもいいように。少しでも財政を圧迫しなくてもいいように、私なりに必死だったわ。

完成したプチ・アモーに全く喜びを感じないまま、できたからには使うしかなくて、とりあえず使い始めたの。
プチ・アモーの庭には鶏がそれなりにいて、ここでは産みたての卵を手に入れる事ができたわ。
その卵を使って作られたオムレツを初めて食べた瞬間、気づいたら私自身がびっくりするくらい、泣いていたの。

プチ・アモーには意地悪なお毒味係は勿論いなくて。お皿の上には、お料理が誰かの意地悪の形をして乗っておらず。
その上、お皿の隅から隅まで乗ってるお料理を全部、私が食べても良かったの!

もう、本当にこの事実が嬉しくて嬉しくて。今、思い出しても馬鹿みたいに泣けてしょうがないし、滝のように涙が出てくるわ。

このプチ・アモーを維持するために、国庫のお金が使われてるんだから、私は宮殿に戻るべきだと勿論、頭では解っていたし日々の生活で、この事が頭から離れることはついぞ無かった。

それでも私は、どうしてもプチ・アモーを離れる事ができなかったの。心がどうしても動かなくて。まるでその場所に根が生えたみたいに、動く事ができなかったわ。あんまり明るい気持ちで生活していた訳では、なかったのだけれど。

それでも、もう宮殿には戻りたくない気持ちが、とてもとても強かったの。


私がプチ・アモーにこもっている間、民衆の怒りは頂点に達して革命が起きたの。
イギリスの目論み通り、フランス王室は瓦解。
長い年月をかけたフランスとイギリスとの戦いは、フランス革命による内紛によって一方的な自壊をしたかのように見えるけど。
実際には、かなりイギリスの手が入った事による作為的な革命のように見えたわ。

革命の先導者は確かにフランス人だったのかもしれないけれど、協力者がイギリス人でもおかしく無いと感じていたの。

それこそ、王宮でオーストリア人で権力らしいものを何一つとして持っていなかった私の存在を突いて、勝手にドレスを燃やす程度の事はしていた訳で。勿論、ドレスを燃やす係は、いつもフランス人だったわ。
でも、裏から指示を出して、ドレスを燃やさせていたのはイギリス人じゃないかと感じていたの。

でなきゃ、こうも鮮やかに革命って成功するものかしら?少なくとも内部事情に、かなり精通している人間がいないと無理だと思うの。

革命後に王室メンバーを次々に首だけにしていった手際の良さと速さは、予め大がかりに準備され予定されていたからだとしか思えないもの。
そんな事が革命軍の中で貴族も含め定期的に話し合われ、会議されていたとは、ちょっと考えにくいし。何より貴族達と、どうやって渡りをつけていたのかしら?まともな平民階級だと、貴族と会話する事すら難しいと思うの。それが、貴族に仕える侍女であったとしても、よ?

だからイギリスという、仲介者が間に居たから成功した革命だと感じているわ。

その、とても恥ずかしいお話しだけれど。
私は、オーストリア人だし、もしかしたらギロチン刑から免れるじゃないか、流刑になり、そこの牢屋で、なんとか生き延びられるじゃないか?とも考えていたの。

のうのうと国民の血税を使って生活していたのだから、極刑になってもおかしくないとは、頭の中では理解してはいたわ。

でも、本当は毎日「マリー」と呼びかけられて、向かう先の部屋では、私が犯した事のない罪を「お前がやった」と一方的に告げられて、私が「いいえ」を告げたら更に続く私の釈明を話す事もできないまま、部屋から連れ出される日々だったの。

お陰で、毎日、牢屋の中では「お願い、誰か私の話しを聞いてちょうだい」と思いながら泣いて過ごしていたわ。

日毎に重ねられて行く罪状の数が怖くて、その事実に素直に向き合えなかったのね。

だから、最期の辺りでは「マリー」と呼び掛けられる、その事が、ただただ恐ろしくて。
名前を呼ばれる度に、びくっと両肩を震わせていたわ。

そんな事もあって、ギロチンにかけられると決まった時は、すごくショックだったわ!

ギロチンにかけられる前の裁判は本当に酷くて、一応、裁判にかけたという事実を作る為だけの場所だったわ。あんなに酷い裁判が、もう二度とこの地球上で起こらない事を祈るしかないくらいよ!

順調に断頭台送りになった私は、処刑の日、ギロチン台のそばに立っていたサンソン氏を一目見て、とても嬉しくなったの。

理由は、彼が仏頂面をしていたから。

もうそれだけで「この方は、私が死ぬ事を笑わない優しさがあるんだわ!」そう思ったのね。

彼がその時、一体なにを考えていたかなんて、本人にしか判らない事だけど。

でも、断頭台に来るまでの間に私が浴びた、兵士達や貴族達の嫌らしい下卑た笑みや野次を彼は見せる事がなかったの。
本当に、ギロチン台までの道のりは屈辱だったわ。短い距離の筈なのに、とても長く感じられたの。
犯してもいない罪を背負ったまま、処刑されるのですもの。とてもじゃないけれど、平静な気持ちではいられなかったわ。

だから、彼の態度が本当に嬉しくて。刑場なのに、神様の救いの涼風が吹いてるようにさえ、感じられたの。彼に処刑されるんだったら、構わないわ!とさえ、思えたのよ。

でも、いざ処刑が始まった時は、失敗する事なく。長く苦しまずに逝けるよう神様に祈ったわ。

それで、マリーアントワネットとしての私の人生は終わったの。

さて、長かった私のお話しもこれでお仕舞い。最後まで、読んで下さって本当に本当にありがとう!

皆様の人生が、いつも輝かしいものである事を祈念しているわ!


以上が掲示板に載せた記事なんやけど。
追加で、それから後の事を書いとくで~。


マリー・アントワネットとして亡くなった後、自分は気づけば天上の世界にいた。ちなみに、後ろ手で縛られていた。まあ、これはいつもの事でなあ。ワイにふられたユーピテルとかいうクソ神は、ワイが亡くなった後、いつも腹いせに天に昇ってきたワイの魂を天使に命令して捕えさせてたんよ。
そして、非道な人生へと突き落とすのが恒例やったんや。
本来なら、ワイもマリー・アントワネットとして誕生する予定は無かったんやけど、ユーピテルがクソ神だったお陰で転生させられた人生の一つやったんや。
お陰様で、世界に名だたる悪女の名前を欲しいままにしとるんやけど、半分以上の罪が冤罪なんやで。恐らくフランス国民的にフランス人の国王ではなく、オーストリアからやって来た王妃が悪女である方が心情的に受け入れやすかったからやろうなあ。それを見越して、燃やせと一回も命令した事のないドレスを次々燃やされてワイのせいにされ続け、王室の財政難を招いてフランス革命が起こる理由にされてしまった訳やからね。


話しが少し逸れてしもうたけど、天上に来た自分は息子であるルイ17世が虐待を受けた結果、亡くなった事を知らされて。周囲をはばからず大泣きした上に『自分をルイと同じ目に遭わせて下さい!』ってお願いしたんよ。
マリー・アントワネットルイ17世(最後のフランス国王)よりも二年前に亡くなっていたけれど、ギロチン刑に遭った事もあり死んだ際のショックが大きくて魂が休息を欲したんやろうね、魂が目を覚まして天上に昇ったのが遅かったんや。
そして、息子であるルイと同じ目に遭わせて欲しいと願ったのは、それによって自分が立ち直る事ができたら息子であるルイも虐待された事実は消えないけれど、幸せに生きていく事ができるだろうという確信が欲しかったからなんよ。


結果、ゲス神ユーピテルはこの願いを叶えてくれたんや。


今度は庶民の女の子に転生し、幼い自分は誘拐に遭い監禁されてしまったんよ。そして食事などは一切与えらず、生きるために嫌々、涙を流しながら自分の糞尿を手にとって食べたんや。自分がした排泄物を食べないといけない恐怖に震えながら、何日間か生きたんやけど。結局、監禁は終わらず最期は扉の下の隙間から漏れ出る光を食べたくて右手の指先を何とか扉の下に差し入れたまま亡くなったんや。あの時は、光が食べたくて食べたくて堪らなかった。世界で一番、綺麗な食べ物やと思ったから。
この時の体験が元で、今生では10年以上に渡って排泄行為が怖かったんや。トイレに入って排泄が始まった途端、『自分がした排泄物を食べないといけない』という強迫観念が襲って来る。食べる事そのものは、とても嬉しかったし楽しかったんやけど。トイレに入るのが憂鬱でたまらなかった。
でも、息子であったルイも同じ気持ちを味わってたんやろうなと思いながら、耐えたんや。今ではもう、その強迫観念もスッキリ消えて嘘みたいに穏やかな日常生活を送れてる。ありがたいことやね。きっとルイも乗り越えられていると思う。


まあ、そんな訳やからスマホゲームFate/Grand Orderを元にしたスピンオフ小説「Fate/Requiem」シリーズでルイがちょこっと登場してくれたんは嬉しかったんやけど、扱いが悪すぎて思わず大泣きしながら「ルイはッ明るくて優しい子で!!!こんな事、こんなことッ絶対にしませんッ!!!」言ってたわ。フィクションやって勿論わかってるし。ほんのわずかな登場だったにも関わらず、マジでガチ泣きしてしまう位には駄目やったわ。アカンで、ホンマ。
自分が悪女だのフランスの国政ダメにしただの、言われることについても当然、嫌やけど(ホンマに半分以上が冤罪やぞ)。非道な目に遭った子を、ことさら悪役として登場させるとか人の心ないんか!?ってなったわ。
Fate/Grand Orderで唯一、許せへんとこがあるとしたらこれやから。

 

うう、恥ずかしい、書いてたら涙なしには書ききれなかった。
今回もホンマ最後まで読んでくれて、ありがとうな。